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DIGITAL DNA BIO
2019.05.25 - 2019.11.09
生物分類技能検定4級をとばして3級に挑戦してみた。勉強から合格までの話
目次

はじめに
過去問を頭に叩き込む
インターネットと本で情報収集
散策する
受験に備える
検定試験が終わって



はじめに

動物が好きだ!
と言うと、“イヌやネコが好き”だと捉えられてしまいがち。
生き物なら虫でも鳥でも何でも好きなのに。

「いきもの全般が好きだと証明できるものはないか」ということで、思い立ったのが生物分類技能検定の受験でした。 動物学者の千石正一先生が好きだったこともあり、この検定の存在は検定開始当初から知っていたのです。
(この検定は千石先生が所属していた自然環境研究センターが主催しています)


検定は4級から1級まで。
公式サイトに掲載されている過去問をやってみると、4級は一般常識の範囲内で何とかなりそうな雰囲気でした。
4級では張り合いがないな、ということで3級を受けることに決定したのです。

外部リンク過去の出題例 (自然環境研究センター)
※3級、4級の過去問が少し掲載されています。

手始めに、検定を主催している自然環境研究センターが発行している『生物分類技能検定3級・4級解説集』と、『試験問題集「3級・4級」』を購入しました。
ところが、問題に挑戦したところ「常識でなんとなる」と思っていた4級で苦戦してしまいました。

動物が好きだとはいえ、魚類への関心が薄いうえ、植物の問題がほとんど分からない。
これでは3級に受からない。

ということで、猛勉強のスタートです。




過去問を頭に叩き込む

私はすでに学生ではないですし、学生時代は生物を専攻していませんでした。
現在はコンピュータと向き合う仕事をしているただの動物が好きな一般人です。
普段、自然と接する時間が短いなか、どう学習するかが鍵でした。


過去問を反復回答
まずは、定番の勉強法。
過去問の反復回答です。

試験問題集に掲載されている過去5年間の3級、4級のすべての問題をPCに入力しました。
それを繰り返し読み返すだけでも構わなかったのですが、
せっかくなので「4択クイズ」ができるプログラムを組んで、ブラウザ上で動作するようにしてみました。
それをスマホに入れて、通勤電車の中でテストを繰り返しました。


過去に出題されていない生物を探る
過去問に登場した生物や植物をすべて洗い出し、それぞれの分類や特徴などを書き出しました。

つぎに、過去問に登場した生物の一覧から、これまで出題されていない生物を連想しました。
たとえば、ノミ、シラミの問題は出たけれど、そういえばダニの問題が出ていなとか、
コンブ、ワカメは出題されたけれど、ヒジキの問題が出ていない、ということであれば調べるといった具合です。
「過去に出題されていない生物を探る」やりかたは、わりと成功したように思います。


オリジナルの資料集を作ってみた
自作の資料集。ネット上で見つけた資料を拝借
こうして各生物について情報をまとめ、Microsoft WORDやExcelに入力してオリジナルの資料集を作成しました。
それをプリントアウトして、常に持ち歩いていました。

自分でまとめた情報や、ネット上で集めた画像も集約させています。

愛用しているのはA5サイズのリングファイル
まとめた資料は無地のA5サイズの用紙にプリントアウトしてファイリングしました。

検定試験開始直前に、試験会場で公式問題集をめくるより、情報をぎっしり詰め込んだコンパクトサイズのノートを見返すほうがスマートです。




インターネットと本で情報収集

インターネットで可能な限り情報収集

「自然に関することは外に出て覚えなさい」という向きもあろうかと思いますが、私はインターネットをかなり活用しました。

インターネット上の情報は真偽が怪しいものがあるとはいえ、3級で出題されるレベルの事柄で、誤った情報がWikipediaに掲載されているとは考えにくいです。
私は基本的な事柄はwikipediaに頼れば充分だと判断しています。
ただし、ネット全体にある情報でいえば、昆虫や植物の写真など真偽の判定が難しいものはネットに頼り切らず、図鑑などで正確な情報を確認しました。


情報収集に使ったサイトは、こちらのページにぎっしりまとめました。
おもに日本国内に生息する生物と、生物関連用語に関するリンク集

図鑑や書籍を大人買い

購入した本の一部
毎日毎日飽きずに図鑑にかじりつく子供のように、生き物の情報にどっぷり染まっていれば、きっと合格する。
そう考えて、生物関連の書籍を大人買いしてしまいました。

検定の公式サイトに、試験に役立つ本のリストが掲載されています。

外部リンク参考図書 (自然環境研究センター)

公式サイトでは、2級の受験者向けの本も紹介されているうえ、入手困難なものもあります。
そこで、大型書店の動植物のコーナーに行き、リストに掲載されていないものも含め、良さそうな本をチェックしました。
私の場合、検定受験は趣味の活動の一環なので、気軽にやりたいこともあり、息抜き用に軽く読める自然系エッセイなども購入しています。

自然系の書籍は高価なので、図書館も利用しました。


電子化して大量の図鑑を持ち歩く

購入した裁断機と裁断した本
購入した書籍を大型の裁断機でズバズバと裁断し、スキャナでPCに取り込みました。
本の電子化、いわゆる「自炊」です。

スキャンした大量の図鑑をタブレットに入れて、常に持ち歩くようにしました。
これがなかなか便利で、通勤電車や会社の休み時間でも図鑑を読めて、 普段の生活のなかで見かけた昆虫や鳥を手軽に調べることができ、とても重宝します。
金銭的に余裕のある方に強くオススメしたいです。

タブレットで図鑑を閲覧
写真は私が使っているAndroidのタブレットです。
数十冊の動物関連の書籍を入れてあります。


※高価な本や、流通在庫が少なそうな本はもったいないので裁断していません。
※裁断した本は処分せずに残してあります。




散策する

植物

某ショッピングセンターの駐車場で撮影
試験勉強をしていた期間は半年ほど。
問題なのは、苦手分野の植物でした。

植物の形をしっかり頭に叩き込むために1年を通してじっくり自然観察できればよいのですが、地域ごとの植生の問題も出題されるので、そう簡単にはいきません。

特に困ったのが「樹木」。
木の種類がまったく分からないうえ、樹木の図鑑を見てもいまいちピンとこないのです。

山歩きをしてもどうにも分からず、結局、緑化活動に熱心を入れているショッピングセンターに行き、駐車場周辺に植えられた街路樹一覧のパネルをチェックするなどしました。
散策のほかに、植物園に行ったりもしています。



受験に備える

ルーペ選び

検定試験ではルーペが必要です。

学生時代に生物を専攻したこともなければ、これまでルーペを使うような自然観察のイベントにも参加したこともなく、自然観察用のルーペを所有していませんでした。

試験のとき、他の受験者の方たちはどんなルーペを持ってくるんだろう?
私の周囲に受験経験者がおらず、どんなモノが標準的に使われているのか分かりませんでした。

ルーペは予備をふくめ2つ購入
試験当日、ほかの方の様子をみてみると……
虫眼鏡と呼んだほうが的確なものや、拡大鏡のような大型のものを持ってきている方もいて様々。
ルーペらしいルーペでなくても全く構わないようでした。

私はよく分からないまま写真のようなルーペを持参しましたが、扱いに慣れていなかったこともあり、絵を描く問題はうまくいきませんでした。

博物館に行こう

国立科学博物館。館内は写真撮影可です。
私が住んでいる地域では試験会場がないため、新幹線で2時間はなれた東京で受験することにしました。前日入りしてホテル宿泊です。

試験前日は、博物館「インターメディアテク」と「国立科学博物館」のほか、この時に開催されていた動物系の展示会を巡ってみました。

インターメディアテクは東京駅のすぐ近くにある無料の博物館で、東京大学のコレクションを常設展示しています。
また、国立科学博物館は説明が不要なほど有名な博物館ですが、試験に役立つ知識を得られるのでオススメです。

外部リンクJPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」
外部リンク国立科学博物館



検定試験が終わって

試験で配布される問題は持ち帰ることができます。
自己採点をしたところ無事、合格しているようでした。

後日、郵送されてきたのがこちらの認定証。
4級を飛ばして3級を一発合格できました。

生物分類技能検定はいきもの全般が好きな方が実力を試すのにうってつけの検定です。
是非チャレンジを!